2019年8月19日号[No.203]
【最新ろう付特集】自動車の車体軽量化でアルミろう付の適用拡大!
半導体製造装置向け需要は低調
ろう付とは、ろう接とも言い、接合を媒介する「ろう」を溶かし、母材間に沁みこませることで接合する技術を指す。ろう付の最大のメリットは、母材を溶かさない点だ。母材が溶けないため、性質の異なる合金同士を異種接合でき、複雑な形状のワークを接合できるなど、一般的な溶接では困難な接合が可能となる。宇宙・航空関連や原子炉部品など、極端な熱影響による母材の劣化を嫌がる分野では、ろう付が適用される比率が高い。こうした分野では、ワーク自体が耐熱・耐腐食ステンレス鋼やニッケル基、コバルト基の超耐熱合金、チタンやアルミニウムを含む合金など、特殊な材質のワークが多く使われており、異なる素材同士を母材を溶かすことなく接合したいというニーズが他分野と比較して多い。
ろう付が適用されている一般的な分野と言えば、オイルクーラーやラジエータ、エバポレータ、冷蔵庫やエアコンの冷媒配管、給湯器など、いわゆる「熱交換器」と呼ばれる機器の製造工程だ。自動車分野ではこの他にも、エンジンまわりや排気系統などに適用されてきた。近年、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)などの普及に伴って、バッテリーの充電・放電効率を落とさない冷却システム部品にもろう付が適用され始めている。
ろう付は、母材を変性させずに高気密性を確保できるという特色から、薄膜形成・エッチング・洗浄乾燥装置といった半導体製造装置の部品製造に適用されている。ここ数年、半導体製造装置関連部品のろう付受託加工は高水準を維持していたが、今年度に入り、米中貿易摩擦の影響から幾分低調に推移しているもよう。(本文より)
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